2010年6月12日土曜日

6月12日のこと。

 いきなりですが、中の人のふるさとの話です。

 中の人のふるさとは、東京から90分くらいのところにあります。そして、32年前の今日、そのふるさとで大きな地震が起こりました。そして、今後30年内に同じ規模の地震が確実に起こる(正確には、今後30年内に99%の確率で発生する)と言われています。毎年、6月12日は、ふるさとでは大規模な防災訓練が行われています。

 その地震は、おそらく日本で初めてと言われる、都市型の地震でした。この地震により、耐震基準が見直され、さらにブロック塀には芯を入れることが安全のために有効であることもわかりました。ふるさとでは、ブロック塀を生け垣にすることで、補助金がでていた記憶があります(今はどうなっているのかわかりません)。

 中の人の父親は、公務員でした。ですから、地震がくれば、出動しなければなりません。小学校に入ったあたりから、父親はいつも言っていました。「災害が起こったら、お父さんは家族のためには何の役にも立たない。だから、オマエ(中の人)がしっかりするんだよ」。その教えは4つありました。

  1. 何があっても、急いで帰ろうとしないこと。途中の道が安全とは限らないし、なにより、家が安全とも限らない。避難所に行くか、今いるところが安全なら、そこにいなさい。無理して帰ってくることはありません。
  2. 少なくとも3日我慢すれば、救援が届きます。それまでは、なんでも みんなで分け合って待っていなさい。
  3. 子どもでも、手伝えることはたくさんあります。大人を手伝いなさい。 子どもだから何もしなくていいわけではありません。
  4. どこにいても、生きてれば会えるから、ゆっくり帰ってきなさい。
 今にして思えば、「今日避難訓練なんだ」と食事中に話していたときのことだったかもしれません。もちろん、ふるさとでは、防災機関が集まって、大がかりな防災訓練をする、その日のことだったように思います。

 この4つの説教は、子供心に大きな衝撃を受けました。もちろん、中の人は、父親の仕事を完全ではないにしても、ある程度(少なくとも何をしているのかは)理解しているつもりでした。ですが、ここまで「父親」としての顔を隠した父親を見たのは、おそらく記憶の限りでは初めてのことだったかもしれません。少しだけ、父親の仕事を誇らしく思いました。

 その後、父親も、いくつかの災害で、現場には行かないまでも、現場を支援するために役所に出かけて行ったことがあります。そのたびに、中の人(そのときには中学生とか高校生ですが)に、「あとは頼んだぞ」といって、わざわざ中の人を玄関まで呼びつけて出勤していきました。

 6月12日と聞いて、思わず反射的に4つの説教を思い出してしまいました。ただ、それだけでは(ブログに書くには)不足していると思ったので、ちょっと書き加えました。

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